賃貸入退去時に関するハウスクリーニング

最終更新日 2023年8月5日

「敷金」とは通常、家賃を滞納した場合に備えた担保のようなもので、保証金です。
例えば敷金が3ヶ月分とあれば、3ヶ月家賃を滞納すると強制退去もやむを得ず、ということになります。

最近はこの「敷金」に絡むものとして、「退去時のハウスクリーニング代を借主が負担する」という特約に従い、敷金返却時にこの費用が間引かれる、という賃貸契約でのトラブルが多発しているといいます。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によりますと、「貸主は家賃という対価を得ている以上、借主に対して使用収益させる義務を負っているため、貸主はそのための修繕義務を負っている」とされています。

このため、ハウスクリーニングに関する費用は原則、貸主、つまり大家さんが全額負担するべきということになります。
しかし、現状では賃貸契約時の特約で、ハウスクリーニング代は借主が負担させられているケースが非常に多くなっています。

長い間、「クロスや壁紙の張り替え、部屋の補修修繕は、敷金からから支払う」という悪い習慣が通例となってきたことが、多分に影響しているといえるでしょう。

過去の判例などを見ると、「明らかな過失や故意による傷、故障、破損」でなければ、借主が費用負担する義務はないといえますが、反対に日頃の掃除、清掃や部屋の手入れを怠っており、なおかつ特約が存在するようなケースでは、借主がハウスクリーニング代を負う場合もあるといえます。

また、仮に費用負担が発生するにしても、後々の余計なトラブルを防止するために、その請求額の妥当性や、全額負担なのか、貸主側との折半なのか、負担の範囲などを確認しておく必要があります。

中には明細を出してこないケースや、借主側で独自に業者へ見積もりを取ることを許可しない、2社以上の相見積を拒否するといった場合もあるようなので、一方的に負担を求めてくるような場合には、裏に必ず何かあると思って対応したほうが、泣き寝入りせずに済みそうです。