支払督促の特徴と活用のポイントとは

最終更新日 2023年8月5日

債権者の申し立てで債務者に金銭などの支払いを督促する支払督促は、日本の民事司法制度で、裁判所において手続きを行うものです。
お金を貸して返す約束をしたのに支払われない、あるいは給料や家賃が支払われないといった時に役立つ手段です。
特徴を一言でいえば、簡易裁判所に対する債権者の申し立てにより、書記官が債務者に金銭の支払いを命じる制度です。
約束のお金を支払って欲しい、そういう場合は支払督促を含めていくつかの選択肢があります。

民事調停は話し合いによる円満解決を目指す方法

民事調停は話し合いによる円満解決を目指す方法で、裁判所の調停委員会により話し合いの斡旋が行われます。
調停での合意内容は法的効力を持ちますから、話し合いに留まるものの約束をなかったことにできないのが特徴です。
少額訴訟は最短1回で審理が行われる制度で、60万円以下の支払いを求めたい場合に有効です。
スピーディーで結果が早く分かりますから、速やかな支払いを必要とするケースで便利な制度だといえます。
民事訴訟はより本格的な裁判を行うやり方で、法廷を舞台に裁判官を前にして、双方が言い分を述べることができます。
判決が下される形で問題の解決を図りますから、債務者に有無を言わせない場合において強力です。
ただしいつ判決が出るかは裁判の進み具合によりますし、証拠を調べる必要があるので何かと時間が掛かるのがネックです。
その点、支払督促は書類審査のみと簡便で、相手の異議申し立てがなければそのまま法的効力を発揮する結果に至ります。
これらはいずれも債権者が選択できますし、60万円以下なら少額訴訟もありです。
ただ、少額訴訟を選択するケースはそれほど多くなく、民事調停も話し合いで解決する見込みが薄いなどの理由で、あまり利用者は多くない傾向です。

最も選ばれている通常訴訟

最も選ばれているのはやはり強力な通常訴訟で、次に支払督促の割合が多いです。
具体的にどのようなものの支払いを督促できるかというと、貸金に立替金と売買代金や、給料と報酬や請負と修理などの代金、そして家賃・地代と敷金・保証金が該当します。
書類審査のみなので裁判所に足を運ぶ必要はなく、証拠を提出する必要もありませんから、忙しくても無理なく手続きできます。
手数料は発生しますが、訴訟と比べて半分で済むので、費用の負担が少ないのも魅力です。
また、申立人の申し立て内容を裁判所書記官が審査して、相手の言い分は聞かずに金銭の支払いが命じられます。
支払督促はその発付が行われるもので、督促対象の相手は逃げることができなくなります。
督促に応じずお金の支払いが行われない場合は、申立人の債権者が仮執行宣言を発付してもらえます。

督促を受けた相手は対応せざるを得なくなる

これは強制執行を意味するので、督促を受けた相手は対応せざるを得なくなるわけです。
相手方、つまり債務者には異議申し立ての権利がありますが、この申し立てがなくても仮執行宣言の発付となります。
支払督促が有効なのは、支払いの約束が明確で約束を守られていない場合です。
約束が曖昧だったり、相手に反論の余地があるケースだと、異議申し立てが行われる可能性が高まります。
反論される可能性があるならば、民事訴訟や民事調停の方が問題解決に繋がりやすくなるでしょう。
それと、督促は書類を郵送する方法なので、相手方の住所を知らないとそもそも申し立て手続きは不可能です。

大まかな申し立ての流れ

大まかな申し立ての流れとしては、申立書をダウンロードして記入を行い、相手方が住む場所の簡易裁判所に提出するというものです。
申立書を受け取った簡易裁判所は、書記官が内容を審査した後に督促を発付、相手方へと送達します。
このように、手続きが簡単で提出したら後は結果を待つだけですから、異議申し立てがなければスピーディーに問題が解決することになります。

債権回収 支払督促